72. ループアンテナをロングワイヤーアンテナとして使う Vol.1
昨年自立柱を撤去して1.8MHzと3.5MHzの逆Vアンテナも取り外したのでこのアンテナをどう張ろうかと考えていた。
ふと思いついたのは現在7MHz用の40m水平ループアンテナがあるがこれをロングワイヤーアンテナにならないかとなった。
7MHz用の水平ループアンテナは長方形でワイヤー部分が約40mある。給電部は長方形の角から直接200Ωのテレビフィーダーを20mつないで無線室のチューナーまで来ている。
チューナーから1mくらいのところで接続してあるテレビフィーダーにACコンセントオス・メスをつけた。
①案としてこのACコンセントメスの片側に別のACコンセントオスをつけて単線を取り出せるようにした。
テレビフィーダー部分20m+ループ約40mで直流計算で合計80mになるがテレビフィーダー部分はアンテナの長さに入れないとすると1/2波長の40mになるがこれでいいのか不明。
平行線を流れる高周波電流が逆起電力によって打ち消されるかという点についてAIで調べると「逆起電力は発生するが電流を打ち消して損失をゼロにするわけではなくむしろ高周波特有の別の損失(導体損や放射損)を引き起こす原因になる。」とでてきた。そもそも平行フィーダーは伝送線路であり電話ケーブルもツイストペア600Ωの伝送線路である。
もう一つの方法②案は無線機側のテレビフィーダーを元でショートした場合、20m+ループ20mで40mになる。こちらも1/2波長に近いのでロングワイヤーアンテナとしてではなくEFHWアンテナとしてはどうかといったところもある。②案はあとで実験することにした。
AIによるとロングワイヤーの長さが1/2波長の整数倍の場合、給電点インピーダンスは数百Ω~数千Ωと周波数やアンテナの長さによって変動するが一般的に450Ωから500Ω程度を想定し50Ωに変換するためにインピーダンス整合を1:9(巻数比1:3)の変成器(unun)が多く使われていると記されている。
1:9の整合器(UnUn)の作成
材料のトロイダルコアは手持ちの正体不明品を使った(61㎜×35.6㎜×12.7㎜)、ポリウレタン銅線(エナメル線)1㎜×10mはアマゾンで入手。その他ケースや部品は以前バランを自作したときのものを流用。インピーダンスが高い場合はホルマリン線は細くても問題ない。
参考にした巻き方
↓↓↓
I6IBEホームページ
変成器はI6IBEのホームページを参考にした。
トロイダルコアの巻き数は9回のところを11回巻いた。
エナメル線の長さはあらかじめタコ糸で巻いてみて必要な長さを出した。 1㎜のエナメル線9回巻は1.5mであり、11回巻の場合2mであった。
11回巻いたのはトロイダルコアのAL値がわからないので多めに巻いて調整するため。
巻き数を増やせばインダクタンスが高くなり下限の特性が伸びるが線材が長くなるので高いほうの特性が悪化する。FT-240-43材では1.8MHzでは7回巻でもよいとされるがFT-240-61材では16回が必要でしかも下限の特性は悪い。
AIで調べるとFT240-43の場合 3.5MHz~30MHzで十分なインダクタンス(通常20μH以上)を確保するためには10回~14回巻となる。
トロイダルコアの計算はこちら→→
トロイダルコアの計算
MFJのアンテナアナライザでテストした。520Ωの抵抗をつないだところ1MHz~30MHzまでSWRは1.18以下であった。
そのあとトランシーバーをつないで10Wで送信したが発熱がない。電力が消費されているかと30Wくらい入れたらすぐに抵抗から煙が出て焼けた。これは変成器として働いている証拠だ。
①案から実験をする。
アンテナ線をつないでどうなるかなのでこのままアンテナとアースをつなぎアンテナアナライザMFJ-225でSWRを測定した。
アンテナをつなぎチューナーを入れていない状態の値(MFJ-225)
周波数(MHz) SWR ディップ点(MHz) ディップ点のSWR
1.860 5.33 なし 測定不能
3.5500 1.88 3.190 1.42
7.1500 2.43 7.550 1.38
14.250 3.78 16.550 1.74
21.350 2.75 26.350 1.70
28.550 1.87 30.850 1.23
※SWRのデップ点とはアンテナの特性インピーダンスが50Ωに最も近づいたことを意味するが共振周波数と一致しない場合がある。SWR1.0=50Ω
共振の定義=アンテナのリアクタンス成分が0になり純抵抗のみになる状態。
アンテナの高さや環境によっては50Ωからずれたところで共振する場合がある。その場合ディブ点と共振点はずれる。
実際のテスト運用
3.5MHzで生のSWRは1.88であった。非同調アンテナなのでSWRはこれくらいでもよい。SWRのディップ点は3.190MHzで1.42(共振点に近い)だった。
1:9の変成器でSWRが1.0の2次側インピーダンスは500Ω位と考えるとロングワイヤーのインピーダンスは900Ω位かもしれない。アンテナの長さの調整はできないのでこれくらいならアンテナチューナーとの併用でロングワイヤーアンテナになる。
コンディションが開けた夕方3.5MHzで10Wでテスト運用した。
宮城県の局から37、岡山県の局から58のレポートをもらい10Wでも交信できることを確認した。電波はでている。
SWRはチューナーで一度チューニングをとったらSWR 1.2以内の範囲が300KHzと広範囲でとても良好な結果になった。3.5MHZの自分が使うバンド内はどこに移動してもチューナーの再調整は不要になった。
その他のバンド
1.8MHzはSWRが高いのでテストはしなかった。おそらくだが素性のわからないトロイダルコアであるため2MHz以下の周波数特性が悪いため。
その他のバンドではチューナーを入れて同じように50Wで送信できたが28MHzはチューナーなしだと無線機に回り込みを起こし無線機のどこかのリレーがカチャカチャして危険な状態になった。28MHzの場合アンテナが長すぎると危険だとかかれていたことが実際に起きたのかもしれない。
3.5MHzでの回り込みのテストを行った。
最初は変成器のアース端子をチューナー側に落としたため80W位から回り込みがあった。
その後アース線の取り回しを変えアースのコモンモードフィルターのGRAND側につないだら良くなった。
10Wから徐々にパワーを上げてそのあとmax200Wまでもっていった。
200Wでしばらくテストしていたら最初は良かったが交信5分ぐらいしてから徐々に回り込みが蓄積されてきて音声が少しガサガサした感じになった。
またアース線の取り回しを少し変えたら一時的に回り込みが無くなった。わずかなことが起因するようだ。
②案について
ここで冒頭のテレビフィーダーを無線機側でショートした②案のロングワイヤーのSWR特性を測定してみた。
結果、①案も②案もSWR特性はほぼ同じであった。
ちょっと意外であったがこれはテレビフィーダー部分の長さはロングワイヤーにプラスされないということで説明できる。
そういえばツェップアンテナははしご給電でアンテナの片端は解放になってる。はしご部分に定在波が描かれた図はよく見たがこの部分から電波が出ていると思っていたがフィーダーを流れているのは高周波電流でありこの部分はアンテナではないのでここから電波が出ていないとすればすべて納得できる。
発熱について
200W SSBで約1時間交信したあと変成器の ポリウレタン線とトロイダルコアを触ってみたが冷たいままで全く発熱は感じなかった。ここでは熱損失が出ていない。
アースについて
ロングワイヤーはアースが重要である。十分な接地抵抗を得られない場合はカウンターポイズも一つの方法だと解説されている。カウンターポイズは地表10㎝くらいで長さ1/4波長を目安に放射状に複数本張るのが効果的だとされている。実際にやったことがないので後日の課題とする。
ロングワイヤーアンテナの説明
アンテナの長さは自由、非共振でありマルチバンドだが調整は困難。
動作させるには良好なアースが必須のアンテナである。
給電点が高圧になるため強制的に50Ωにインピーダンスを合わせる整合回路が必要になる。
たとえば50W出力の場合 P=V×V/R V=√P ×√R= √50 ×√2500=353V 給電点の電圧は350Vになる。これが100Wだと500Vになる計算だ。
1/2波長のアンテナをつなぐと給電点は2500Ωになり高電圧が発生するためとても危険になる。ICOMの説明ではオートチューナーを使ったワイヤーアンテナは1/2波長のアンテナは焼損するのでつないではいけないとなっている。推奨エレメント長16.2m(定番の長さで1.8MHzから50MHzまで使えるとなっている。)
16.2mの長さは広帯域なバンド(7MHz~50MHz)で「共振しない」かつ「現実的なインピーダンスになる」絶妙な長さであるため。(AIによる回答) マッチングが取れたことと飛びがよいかは全く別の話。
給電点の整合器の下にコモンモードフィルターを入れないと同調がずれている場合、同軸ケーブルの外皮にコモンモード電流が流れてインターフェアーの原因になる。
ロングワイヤーアンテナとツエップアンテナとの違い
ツエップアンテナは共振しているアンテナを給電部に接続しLCマッチング回路を用いて給電するためアースは不要。
またツエップアンテナに分類されているEFHWアンテナも共振しているアンテナを給電部に接続するためアースは不要。変成器は1:49を使う。
給電部には変成器とコンデンサを入れ整合させる。基本的にはアースは不要。
スローパーアンテナは1/4波長の長さで共振したアンテナでありアースが必要なアンテナでありロングワイヤーに属する。給電部は1:9 、1:14 、1:49などの変成器を使う。
チューナーは王様か
韓国ドラマで王様のことをチューナーと呼んでいるように聞こえた。(◍•ᴗ•◍)
2026.2.11
<参考>
FT-114- 43 大きさ 外形1.14インチ(外形29mm 内径19mm 厚さ7.5mm)
FT-240- 43 大きさ 外形2.4インチ (外形61mm 内径35.5mm 厚さ12.7mm)
素材 #43 1MHz~30MHz 7~8回巻
素材 #61 5MHz~200MHz以下 10~16回巻 (用途は18MHz以上で使う)
巻き数が少なくすると下限の周波数は悪くなるが上限の周波数特性がよくなる。
巻き数を増やせば下限の周波数は良くなるが高い周波数では特性が悪化する。
7MHzループアンテナの長さ(AIの回答)
300÷7.1MHz×1.05=44.37m(ワイヤーが裸線の場合)
ループアンテナの長さはエレメント同士の干渉や地面との結合、ワイヤーの太さも関係して1波長よりも逆に1.02~1.05倍程度長くなる傾向になる。
ワイヤーに絶縁被覆電線を使用した場合は逆にワイヤーの短縮率95%~99%が適用されるため
300÷7.1MHz×0.96=40.5m(ワイヤーが被覆電線の場合)となる。
3.5MHzの場合は82m~88mの範囲がよい。
カウンターポイズのおぼえ書き
カウンターポイズはエレメントとして働くため共振していることが重要。長さは変成器のアース点から1/4波長20mで地表から10センチ以上浮かせて2本以上設置する。地表にはわせるのはグランドラジアルで複数本(20~30本)が必要。長さはカットアンドトライとなる。
トロイダルコアを使った変成器はどのように呼ぶか
・バラン
アンテナ給電部などで平衡(Balanced) と不平衡(Unbalanced)の変換を主目的とする場合。
・トランス(変圧器・変成器)と呼ぶ場合
電源回路の電圧変換やインピーダンス変換を主目的にする場合
・バラン・トランス
広帯域整合回路など
基本的に何をするための部品かによって呼称を使い分けている。
フェライトコア・トロイダルコアの違いは
フェライトコアは素材の一種でありそれをドーナツ状(リング)にしたものをトロイダルコアと呼ぶ。
一般的にパッチンコアはフェライトコアという。